職場復帰は慎重に

鬱

悩みが深いときには

カウンセリングや薬物療法がうつ病の治療の中心になりますが、悩みが深い場合や病状が重くなってきているときには、症状の緩和だけでなく、心理療法を用いていきます。うつ病においても、過剰な心理的緊張を持続して、身体症状が出る人も多いです。そうした心理状態を緩和し、症状を現出しにくくするために行うのが自立訓練です。具体的には、手足をリラックスさせて仰向けに寝るか、いすに座って標準公式を唱えていきます。同じように自律神経を整えていくのが、音楽療法です。いろいろな医療現場で近年導入されており、うつ病にも効果が高いです。音楽はリズムとメロディからできており、この波動が脳に影響を与えて活性化させると考えられています。CDなどで音楽を聴くという受動的なものと、歌をうたう、楽器を演奏するという能動的なものがあります。ストレス状態にあるときには、クラシック音楽を聴くことで副交感神経を優位にするので、リラックス効果を得られやすいです。一方、活力が低下しているときには、歌をうたうことで、交感神経が優位になり元気が出てきます。うつ病は、脳内リズムにメリハリがなくなると考えられているため、こうした音楽療法も有効です。これ以外にも、行動療法などもよく取り入れられています。たとえば、不安を感じる状況を医師が充分に検討し、プログラムを作っていきます。本人がその不安を実際に体験したり、その状況に近づいたりすることで、不安そのものをどう捉えるかを医師とともに考えていく方法です。この治療には双方の信頼関係が必要ですので、治療後期に用いられることが多いです。実際にうつ病の治療を重ねていくと、治療を続けながら職場に復帰するタイミングが出てきます。ほとんどのうつ病の人が、復帰を焦りがちです。これは、自分が社会から置いてきぼりをくらった気持ちになるからです。しかし、治りかけの状態で復帰することは厳禁です。治癒率が80パーセントでの復帰なら、結局、失敗して休職期間が延びる可能性が高くなります。たとえ、100パーセントで復帰しても、再発はよくあることですから、120パーセントぐらいの状態で余裕を持って復帰するぐらいでちょうどいいです。もう大丈夫だろうではなく、不安も何もなく早く仕事がしたいという意欲が出てきてから仕事に復帰したとしても、決して遅くありません。二回、三回と休職を繰り返すと、うつ病を患いやすい真面目な人にとって、さらにつらく苦しい体験を重ねてしまうことになりかねません。もし、会社が認めてくれるのならば、復帰までに三ヶ月から半年程度助走のような機会を作るのも再発を予防するためには効果的です。最近は、会社も含めメンタルヘルスの関心の高まりもあって、復職後もしばらくは一日に四時間程度の軽減勤務を認めてくれる職場も多くあります。また、年齢によっては嘱託社員への切り替えなどに応じてくれるとこともあります。いつ、うつ病の苦しさがなくなるのかというのは、その人の重症度や環境によるものなので一概には言えず、個人差が非常に大きいです。すぐにフルスロットルで働いて失敗しないように、医師と相談しながら徐々にすすめていくことが大事です。